狂奏曲~コンチェルト~


 言いようのない不安が、どんどん心を侵食するように膨らんでいく。
 スタッカートの記号で、心臓がずきりと刺されるようなそんな感覚。

 そのまま大学に行った私達。
 授業を受けている間も、気が気ではなかった。

 つばちゃんに会えない。

 ただそれだけで、胸がこんなにも押しつぶされそうになる。
 不安は大きくなるばかりだった。


 授業のあと、まっすぐ工学部の校舎に向かった。
 しばらく待っていると、冴島さんが出てきた。

「冴島さん」
「……何」

 私が声をかけると、冴島さんは明らかに嫌そうな顔をした。

 この人は、五年間つばちゃんと一緒にいた人。
 つばちゃんをずっと好きだった人。
 今でも、つばちゃんのことを好きな人。

「つばちゃんは?」

 冴島さんは、私の言葉に目を見張った。

「貴女……」
「つばちゃんはどこ?」
「翼なら、学校には来てないわよ」

 やっぱり、つばちゃんは学校に来てなかった。
 冴島さんは私を見て、

「貴女、もしかして思い出したの?」

 私は頷いた。