狂奏曲~コンチェルト~




 翌日、はやる気持ちを抑えながらお兄ちゃんの運転する車に乗り込んだ。

「お兄ちゃん、早く」
「お前、ちょっと落ち着け」

 どきどきと鳴る心臓がうるさい。

 私が全てを話したら、つばちゃんは解放されるだろうか。
 つばちゃんは、自分を責めるのをやめるだろうか。

 私達は、過去を乗り越えて、幸せになれるだろうか。

 お兄ちゃんの運転する車が、つばちゃんのアパートの路地に入る。

「あれ……」

 いつもなら、つばちゃんが下で待っている時間。

「お兄ちゃん、つばちゃん、いない」
「あれ、本当だ」

 おかしいと思いながらも、私はつばちゃんの部屋まで行った。
 インターホンを鳴らしてみるけど、誰もいないみたいだった。

「……?」

 私は車に戻った。

「誰もいないみたい」
「……先に行ったのかな?」

 こんなの、おかしい。