「俺な」
しばらくして私が泣き止むと、お兄ちゃんが口を開いた。
「かなの気持ちにも気づいてたし、翼の気持ちも知ってた」
私は顔を上げた。
お兄ちゃんは顔をしかめて、辛そうだった。
「あの時、俺はかなが翼に告白するか、その逆か……とにかくお前らがくっつくと思ってた」
お兄ちゃん……?
「だからお前をあいつの家にやったり、はっぱかけたりして……俺、親友なのに、あいつの気持ち全くわかってなかった。あいつの悩みに気づいてなかった!」
お兄ちゃんの体が、震えている。
私は、そっとお兄ちゃんの手を握った。
「わかってるつもりで……なんにもわかってなくて、何が親友だよ……」
「お兄ちゃん……」
「お前のことも、守ってやれなかった……」
こんなふうに、弱っているお兄ちゃんを見るのは初めてで、私は何も言えなかった。
「あの時、俺がしっかりしてれば、お前らはこんなに悩むことはなかったんだ」
「そんなこと……!」
「でも、俺はまだガキで……何もできなかった……」
お兄ちゃんが、ぎゅっと拳を握った。

