狂奏曲~コンチェルト~


「付き合ってみるのも良いかもしれないね」

 私の小さな嘘が、私の大切な人を狂わせた。



 泣きながら私を抱いたつばちゃん。
 綺麗な瞳を歪めて、辛そうな顔で私を見ていたつばちゃん。

 おかしいのかもしれない。
 狂っているのかもしれない。
 それでも私は、つばちゃんになら壊されても良いと思った。

 こんなことをするつばちゃんを嫌いになんかなれなかった。
 愛おしくて、だからこそ悲しくて、私は自分を呪った。

 大好きな人に、こんなことをさせてしまった自分を呪った。
 つばちゃん、ごめんねと、その一言が言いたかったのに。

 私は自分を呪い過ぎて、つばちゃんとの記憶を失った。

 それは、私にとって何物にも代えられない大切な記憶。
 私にとって一番大切なもの。
 私はそれを、失った。