「つばちゃん、つばちゃん、男子ってどんなものもらうと嬉しいの?」

 ここは俺の部屋。部活から帰ってきた俺が部屋着でベッドに寝転がりながらくつろいでいると、かなめがずかずかと人の部屋に乗り込んできた。
 俺はベッドの上から横目でかなめを見た。
 ちょっとだけ茶色っぽい肩までの髪に、ウェーブがかかっているのは天然だ。ぱっちりとしたまん丸の瞳も、茶色い。二重に、桜色の唇。真っ白な肌。かなめは、昔から相変わらず可愛い。
 かなめが近くにいると、心臓がうるさくなる。
 だけどそれに気づかれないように、俺はぶっきらぼうな声を出すしかないんだ。

「んなの、有紀に聞けよ」

 わざわざ俺に聞かなくても、すぐ近くに有紀がいるんだ。
 そうは言いながら、わざわざ俺に聞きに来てくれるかなめが愛おしい。

「えー、だって」

 かなめは口を尖らせ、

「お兄ちゃんは、あたしが男の子と一緒にいるのが許せないみたいだから、意地悪しか言わないに決まってるじゃん」

 まあ、シスコンの有紀だからな。
 かなめはにっこり笑って、

「だからつばちゃんが教えてよ。もうすぐ高島君の誕生日なんだ」

 ずきっ……

 かなめの口から、他の男の名前が出るだけで、胸が苦しくなる。
 だけど、プライドの高い俺は、それをかなめに悟られないように平静を装うんだ。