狂奏曲~コンチェルト~



 男の子は、いつも冴島さんという女の子と一緒にいる。
 その子は、男の子達に人気があって、可愛い子。
 男の子は、最近『私』の前では笑ってくれないのに、冴島さんの前では笑うんだ。


 私は知っている。
 『私』が、男の子が笑ってくれないことを、寂しがっているということを。


「つばちゃん!」

 『私』はいつも、彼の部屋に通う。
 ただ、彼の笑顔が見たい一心で。

「お前は他に行くとこないのかよ」

 でも、彼はそうやって『私』を邪険に扱う。

 にっこりと笑って居座る『私』は知っている。
 彼は本心からそうは思っていないことを。


 私は知っている。
 不器用で、綺麗な瞳を持つ彼のことを、『私』が好きだということを。


「付き合ってみるのも良いかもしれないね」

 そう言ったのは、ただ彼の反応を見たいがための嘘だった。


 私は、これから起こることを知っている。


「いたっ、つばちゃんっ!?」


 体が震えた。