狂奏曲~コンチェルト~


「つばちゃん!」

 小さい『私』は、先を歩く男の子に抱きついた。
 男の子は、驚いたように私を見て、そしてその綺麗な青く光る灰色の瞳を細めた。

「かなめ」

 『私』はその男の子と手をつないで、一緒に幼稚園に行く。


 突如、私は落ちていくように穴に吸い込まれた。
 突然変わった風景に、私は再び視線を動かす。


「損って……かなめだって、可愛いだろ?」

 大きくなった男の子が、ぶっきらぼうにそう言った。
 それを聞いた『私』は驚いたように目を見張った。


 でも、私は知っている。
 『私』が、本当は死ぬほど嬉しかったってことを。


 学校で『私』が見かけるのは、彼が他の女の子と話している姿。

「…………」

 『私』は遠くから、彼を見ているだけ。
 どんどん、離れていってしまうような気がしてた。