狂奏曲~コンチェルト~






 家には、誰もいなかった。

「ただいま」

 それでも一応そう言って、中に入る。

 まっすぐ部屋に入った私は、どさりとベッドに倒れこんだ。

「……翼……」

 翼の様子がおかしかった。

 気になって仕方がない。
 なんで、翼は泣いていたのか。

 なんで?

 幸せだって思ったのに。
 一緒にいられて、それだけで幸せだって思ったのに。

 翼はそうじゃなかったのかな……?


 ぐるぐると翼のことを想いながら、いつの間にか私は眠りに落ちていた。



 心地よい浮遊感。

 ここは、いったいどこ?


 きょろきょろと辺りを見回すと、私は『私』を見つけた。