狂奏曲~コンチェルト~






 これは、俺の決意だった。

「それじゃ」
「ああ、気をつけて」

 かなめが家に入っていくその背中が見えなくなるまで、俺は見つめていた。
 この、色を映さぬ瞳に、かなめの姿を焼き付けるように。

「かなめ、愛してる」

 ぽつりと呟いた声は、かなめには届かない。

「幸せになってくれ」


 最愛の幼馴染み。
 物心ついたときから、一緒にいた。

 一緒に泣いて、笑って、大きくなった。

 この世で一番大切な人だった。

 それを、俺はこの手で壊した。


 五年間、かなめだけを想い続け、自らを呪った。

 色をなくしても、想いは色褪せなかった。

 そして再会を経て得た、奇跡のような幸せな時間。


 でも、もう、終わりを告げるファンファーレを鳴らしても良いと思うんだ。


 俺は、歩き出した。
 かなめの前から、姿を消すために――。

 最愛の人を、解放するために――……。