狂奏曲~コンチェルト~






 校舎を出ると、珍しく翼が待っていた。

「あれ、どうしたの?」

 普段はいつもの場所で会うのに。

「いや、ただかなめに会いたくて」
「?」

 翼の顔色がおかしい。

「大丈夫? なんか元気ないよ」
「大丈夫。かなめ、今日、時間あるか?」
「え? 今日は特に予定はないけど」

 翼が私の手を握って、

「今日、一緒に過ごさないか?」

 その言葉に、私は頬を染めた。

「うん」

 一緒にいることが単純に嬉しくて、私は気づけなかった。


 翼が、このとき何に悩んでいたのか、もし気づけていれば――もし、私が何もかもを知っていたなら、あんなことにはならなかったのかもしれない。