狂奏曲~コンチェルト~


 ほのかの、淡々とした声が俺を責める。

「翼は、本郷さんと一緒にいても幸せにはなれない。翼には本郷さんを幸せになんてできない」

 わかってる。
 そんなことは、わかってる。

「第一、本郷さんが全部思い出したら、貴方達二人とも傷つくんじゃない」

 ほのかの言葉は、正論過ぎて――耳をふさぎたくなった。

「なんのメリットがあって、一緒にいるわけ? あたしには理解できないよ」

 その瞬間、俺の中の何かが音を立てて崩れ去った。

「そう、だよな……」
「そうよ」

 ほのかに小さく礼を言うと、俺はその場を去った。


 かなめは、何もかもを思い出すかもしれない。
 もしかしたら、もう何かを思い出しているのかもしれない。

 ただ、それでも――最後に一度だけでも、かなめに会いたかった。