狂奏曲~コンチェルト~






「しけた顔してる」

 俺の顔を見たほのかが、開口一発そう言った。

 酷い顔をしているのは、知ってる。

 胸が苦しくて、どうしようもない。
 かなめを想って眠れない日々が続いている。
 それはかなめへの罪悪感、そして未来がない俺達の関係への憂い。

「何かあった?」

 笑みを浮かべて言うほのかに、何か違和感を覚える。

「お前……」
「翼が振り回されるってことは、本郷さんのことでしょ?」

 ほのかは、気味が悪いよう笑顔でそう言う。
 俺はじっとほのかの顔を見た。

「何?」
「いや……」
「何があったの? あたし、何でも聞くよ」

 この五年ずっと一緒にいたほのかの言葉に、俺は口を開いた。

「かなめ……俺との記憶を思い出しそうなんだ」

 ほのかをちらりと見ると、驚いたように目を見張っていた。

「過去を思い出したら、かなめは……」
「何言ってるの?」

 俺は反射的にほのかを見た。

「自分をレイプした男と付き合う人なんているわけないじゃん」
「……」
「翼、いい加減、目覚ましなよ」