狂奏曲~コンチェルト~


「翼、何があったの?」
「いや、なにもない」

 何も、ありやしないよ、かなめ。
 ただ、苦しいだけだ。

 愛おしい君を傷つけているのが、俺の犯した罪だということが。


 かなめ、俺達の過去は消せないよな。
 いくらお前が忘れようと、お前は俺を許していないよな。

 かなめ、それでも……俺は、お前を愛しているから。


「かなめ、笑顔」
「え?」

 俺の言葉に、かなめが目を見張る。

「笑え」

 俺が無理矢理笑顔を見せる。
 それに応えたかなめが、照れたようにはにかんだ。


 今だけでもいい。
 忘れている間だけでいいから。

 俺にその、笑顔を見せてほしい。