「っ……」
小さい頃から、現在まで、たくさんのかなめが、俺を取り囲む。
みんな、笑顔で俺を見ている。
俺の、大好きなその笑顔で。
その顔が、途中から憎しみに満ちた……今まで見たことのないような表情になった。
『つばちゃん、私のこと騙してたの? あんなことしただけじゃなく……最低!』
『なんであんなことしたの?』
『翼、酷い』
『つばちゃんなんか、苦しめばいいんだ』
それぞれのかなめが、俺を責めだす。
俺は頭を抱えてその場にうずくまった。
「うわああああああああああああああ」
狂っている。
何もかも、狂っている。
それでも、俺は……かなめ、お前になら憎まれてもいい。
かなめ、俺はお前を愛している。
翌日、いつもと同じように迎えに来た車。
「乗れよ」
有紀が車の窓を開けて俺に笑いかけた。その向こうからかなめが俺に笑いかける。
「翼、おはよ……って、酷い顔してるよ」
車に乗るのをためらった俺に、かなめが笑った。
「ああ、おはよう」
車に乗り込みながら、ため息が出る。
その俺の顔を見たかなめが、はっと息を呑んだ。

