『翼、かなはなんだか温かい記憶だと言ってたぞ』
「……有紀」
俺は、もう……
「俺は、かなめといていいのかな……?」
『翼、しっかりしろ』
「俺は、かなめからたくさんのものを奪いすぎてる……」
『お前は、かなに与えることもできるだろ』
有紀、お前はどうしてそうやって……
『翼、かなを信じろ。自分を犯したやつとの記憶を、暖かい記憶だというやつがいるか?』
有紀が、訴えるように伝える。
『かなは、お前を恨んでなんかいない』
「……っ」
俺は、電話を切った。
かなめが何もかもを思い出したら、かなめは俺の前からまた姿を消すだろう。
幼馴染みだったことを隠して近づいた俺のことを、憎むんだろう。
俺は目を閉じた。
暗闇の世界に、かなめが現れる。

