「なによ」
震える声が出た。
「私は思い出したいだけなのに……」
「かな……」
「教えてくれたっていいじゃん!」
自分が驚くほど大きな声が出てしまう。
「かなちゃん……」
私の心を、不安という名の靄がどんどん侵して行く。
気色の悪い感覚に、吐き気を覚える。
「お兄ちゃんは、頭痛がするたび全く見覚えのない光景を見せ付けられる私の気持ちがわかるっ!?」
不安が込みあがってきて、涙がこぼれた。
「あの人はいったい誰なの?」
「かなちゃん……!」
「かな」
お兄ちゃんに見つめられて、私は動けなくなった。
「かな、俺達が何かを教えて、お前は納得できるのか?」
「……え?」
お兄ちゃんの、私と同じ色の瞳。
それがじっと私を見つめている。
「かな、辛いときは泣けばいい。悩めばいい。でも、そうやって自分で考えなきゃ意味がない」
「意味……?」
お兄ちゃん?
いったい、何を言っているの?
お兄ちゃんは、寂しげに笑って私の涙をぬぐった。

