狂奏曲~コンチェルト~


「お兄ちゃん達は、何か知ってるんじゃないの?」
「「…………」」

 お母さんもお兄ちゃんも、困惑した様子で目配せをしている。

「知ってるんだよね」
「かな……」

 私の言葉に、お兄ちゃんが言いにくそうに、

「もしも、本当にお前が何かを忘れてるなら、俺達が教えちゃ意味がないと思うんだ」
「でも!」
「かな」

 お兄ちゃんはものすごく真剣な顔で、

「お前が忘れていると思うその記憶、何で忘れてしまったのか考えてみたらどうだ?」
「……覚えてないのに、そんなのわかるわけないじゃん!」
「かな。でも、俺はお前に何も伝えるつもりはない」

 私は、お兄ちゃんの言葉に何も言えなくなってしまった。

「有ちゃん」

 何かをはばかるように、お母さんがお兄ちゃんを見る。

「そんな言い方をしなくても……」
「母さん。かなが思い出したいのなら、かなは思い出すべきだ。自力で」
「でも……」

 もどかしい気持ちでいっぱいになった。
 私は、ただ知りたいだけなのに。
 なんで、お兄ちゃんはこんな言い方するの?