狂奏曲~コンチェルト~


「……いつもの頭痛だよ」

 お兄ちゃんは心配そうに、

「本当にただの偏頭痛か? 藪医者なんじゃないのかよ」
「ねぇ、お兄ちゃん」

 私はお兄ちゃんを見て、

「お兄ちゃん、今まで黙ってたんだけどね」
「うん?」
「頭が痛くなるとき、いつもなにか見えるの」

 私の言葉に、お兄ちゃんが首をかしげた。

「何か……見覚えのない思い出みたいなもの」
「かなちゃん?」

 お母さんも不安そうに私を見ていた。

「私は、何か忘れてるの……?」

 私の言葉に、お兄ちゃんとお母さんの顔が凍りついた。
 それを見て、私は確信した。

「……やっぱり、そうなんだね」
「かな……何か、思い出したのか?」

 私は固い顔のお兄ちゃんを見て、首を横に振った。
 お母さんが険しい顔で、

「かなちゃん、辛い事なんか思い出さなくていいのよ。あんな事件、思い出したくなくて当然なんですから」
「ううん、違うの、お母さん」

 私は慌てて、

「あのね、事件のことじゃなくて……なんか、もっと温かい記憶なの」
「「え……?」」

 私の言葉に、お兄ちゃんとお母さんは顔を見合わせた。