狂奏曲~コンチェルト~


 かなめ、もしかして、思い出しているのか?
 いや、そんなわけはないよな。

 ふとかなめを見れば、じっと俺の目を見ていた。

「?」
「私、初めて会った時からずっと、翼の目が好きで、気になって仕方ないんだよね」

 かなめがそう言って笑う。

「なんでかな、すっごく気になる」
「……そうか」

 昔から、俺の目が好きだといってくれていたかなめ。
 かなめは、何も変わってはいない。

 ふと、かなめの顔が翳った。

「翼、記憶障害って、どう思う?」
「どうした、いきなり」

 かなめは言いにくそうに、

「私、言ったでしょ。強姦に遭ったときのことは覚えてないって」
「……ああ」

 かなめ……?

「私ね、他にも忘れてる記憶があるみたいなの」

 かなめ、どうして……

「ほら、ずっと頭痛くなったりしてるでしょう?」
「……ああ」
「あの時ね、いつも何かの映像が見えるの」

 かなめ、お前は……

「いつもね、誰かと一緒にいるような気がするんだけどね、その人が誰か思い出せないし、顔が見えないの。映像には音はないし」

 思い出しかけているのか……?