狂奏曲~コンチェルト~







「翼、待った?」

 かなめが小走りで、時計台の下で待っている俺のところにやってきた。

「ごめんね! お兄ちゃんに捕まっちゃって」
「いや、そんなに待ってないから」

 何か濃い色のキャスケットをかぶって、ミニスカートに長いブーツを合わせているかなめは、今日も可愛かった。

「しかし、有紀は妹離れができないんだな」
「……」

 笑って言った俺の顔を、かなめがちょっと驚いたように見た。

「ん? どうした?」
「え、ううん。なんでもないよ」
「?」

 かなめは笑って、俺の腕を取った。

 可愛くて仕方がない。
 優しい笑顔が素敵なかなめ。

 手放したくない。
 手放したくなんか、ない。

 でも、俺はこの先かなめを笑顔にし続けることができるだろうか。

「つーばさ!」
「え、あ、なんだ?」

 ふと気づけば、かなめが俺の顔を覗き込んでいた。