嘘つきと夏の木漏れ日

高田くんは私に向き直って言った。


「ね?今日はベンチで本を読もうよ。木陰の下でさ?」


すごく、優しい瞳で見つめられた。

…高田くんはズルい。


そんな顔で言われたら文句なんて言えないよ。


私はコクッと頷いた。


そんな私を見た苳也くんは、やれやれと言ったように首をふったて言った。


「しかたがないなぁ。じゃあ、沙紀ちゃん!メアド交換しよ!!」


苳也くんはスチャッとスマホをだした。


「あ、うん。いいよ」

そう言って私もスマホをだす。



「「え!?!?!?」」



……へ?


高田くんはあり得ないと言った表情をした。


言ってきた苳也くんですら意外そうに眉をひそめている。


な、なんか変なこと言った!?


私はだしたスマホを引っ込めようとした。


すると、苳也くんは私のスマホを私の手ごと包み込むと焦ったように言った。


「わぁー!ストップ!!交換、交換!!!」



そ、そんなに焦らなくても交換するわよ…。



私は少しため息をついて微笑んだ。