嘘つきと夏の木漏れ日

「苳也。てめぇーは帰れ。もう、用は終わっただろ?」


背筋も凍るような声で高田くんは言った。


私は目を見開いて硬直した。


こ、こわ!


あ、でも、そんな高田くんもかっこいい♪



……じゃなくて!!


私は少し息をはきだすと、黙って様子をうかがった。



苳也くんはニコニコしながら、言った。


「えーー!俺、沙紀ちゃんともっと話したい!!」


な、なんで!?


確かになついたし、なつかれたけど…。



今の高田くんを見てそんな命知らずなことをよく言えたな。


ちょっと尊敬するよ。



高田くんは私を荷物のようにして持つ。


ん!?!?!?


それこそなんで!?!?!?


いやいやいやいや!!!


脳内絶賛大パニック中!!!


いや意味不明だし!?


そんな私を高田くんは自転車の荷台に乗せる。


あ、荷台にタオルしいてある。

やっぱり高田くんって優しい。

「俺らもう帰るし。お前もさっさっと帰れ!!」