嘘つきと夏の木漏れ日

私は目をつぶった。


あぁ。


早く高田くん来ないかな……。


早く高田くんに会って、この惨めな気持ちを上書きして消し去りたい。


私は腕時計をつけた手首を軽くにぎった。


昔おばあちゃんにもらった、腕時計だ。


少し古いけど、デザインが好きで今でもつけている。


今ではおばあちゃん形見みたいなものになってしまった。

そんなとき、影ができた。


「ごめん。沙紀ちゃん、待ったよね?」


少し息を切らした、優しくて低い声は私の両耳に遠慮なく流れ込んでくる。


大好きな高田くんの声だ。


息を切らしているってことは、急いできたのがわかる。


そんな律儀なところも好きでたまらない。


私は目をつぶったままこたえた。

「ううん。そんなことないよー」

嘘。

本当は50分近く待ったよ。


私って嘘ばっかり。


なかなか起き上がらない私を見て高田くは言った。


「そんなとこで寝てると汚いよ?」


私はうっすらと目をあけ言った。


「大丈夫。今日、掃き掃除したもの」