嘘つきと夏の木漏れ日



人をドキドキさせる天才だ。


私は少しうつむいて言った。


「どうかしかた…?」


高田くんは言った。


「ねぇ、沙紀ちゃんはそんなにこの本が好き?」


『好き』って単語にドキッとしてしまう。


あー、私のバカ!


好きっていうのは本のことよ!!


私は心のなかで自分に言い聞かせるように何度もつぶやいた。


そして私はコクッとうなずいた。


高田くんは、目を細めて微笑み言った。


「そっか。俺も読んでみようかな?」