人をドキドキさせる天才だ。 私は少しうつむいて言った。 「どうかしかた…?」 高田くんは言った。 「ねぇ、沙紀ちゃんはそんなにこの本が好き?」 『好き』って単語にドキッとしてしまう。 あー、私のバカ! 好きっていうのは本のことよ!! 私は心のなかで自分に言い聞かせるように何度もつぶやいた。 そして私はコクッとうなずいた。 高田くんは、目を細めて微笑み言った。 「そっか。俺も読んでみようかな?」