嘘つきと夏の木漏れ日

泣きたかったけど泣けなかった。


おばあちゃんのことを忘れていた私には泣く資格なんてなかったから。


葬式の日、必死で涙をのみこんだ。

私は前髪をかきあげて泣きじゃくりながら言った。

「いざ、木の棺桶の中で眠ったように目を閉じたおばあちゃんを見ても、おばあちゃんに呼ばれてこの家に来ても、私の中では後悔しかなくて……」

ダメだ…。

これ以上、言葉では言い表せない。

どうやったらこの私の感じる孤独な後悔を言い表せるんだろう?

泣きじゃくる私の熱のこもった身体を、高田くんの冷たい体温が包んだ。


「泣きたかったら泣けばいい」


高田くんの優しい声が聞こえた。


うわー…。


それは反則だよ。


私は高田くんの肩を押して、ぐしゃくじゃの顔で笑った。