持田に揺れていたことも事実だったけれど、何より限界を感じていた。



授業以外では話しかけても生返事の先生。

他の子のは普通に接するのに、私にだけ。


なんて分かりやすいんだろう。
いや、分かりやすいのは私の方か。

私の好きは態度で彼に伝わっていたらしい。


諦めさせるためか、遠ざけるためか。
先生は私に冷たかった。


当然打撃は大きかったけれど、私はめげなかった。



「ねぇ、先生。」



教材を広げながら呼びかけたときの



「ん?」



この声が好きだった。

優しくて、嫌われてないと実感するから。


勉強を教えるときは普通だった。冷たくない、他の子と同じ扱い。


だから私はよく先生に勉強を教えてもらってた。

授業が終わってから、自習中に、先生が空いていればいつだっておかまいなし。


問題が分からなかったのも本当だけど、下心はそれに勝っていたかもしれない。