「いる?」



と意地悪な笑顔で訊いて来た先生。



「いらないっ!」



と言うと、それをそのまま鞄に戻す先生。



「それよりCD~!!」

「あぁ、はい、これ。」



そう渡されたのは、予想に反したものだった。



「え…これ…。」



驚いて受け取るのを一瞬躊躇した。

受け取ってなお、その存在を認められずにいた。



「あげる。」

「先生、CD焼いた…の?」

「ん? あぁ。」

「え、じゃあコレ返さなくても…?」

「あぁ、いいよ。」

「なんで焼いてくれたの…? 貸してくれればよかったのに。」

「ん? だって返す時のやり取りとかめんどいじゃん。」



先生がくれたのは、真っ白いCDケースに入った真っ白いCDだった。