翔のことが分かんなくて、いつもいつも。
苦しんできた。
今だってそうなんだ。
今のあたしの顔はきっと、表現出来ない。
泣いてるのか、笑ってるのか。
醜く歪んでいるとも言えて。
誰にも分かんないよ。
あたしのことなんだから…………。
「………澪?」
「…………崚丞」
想像してなかった。
今のあたしを崚丞には見てほしくないよ。
弱い所見せたくない。
崚丞の前ではいつも強気でいたい。
「………泣いてんの……?」
「…………………え…………。」
うまく伝えることができなかった。
でも、崚丞のことだ。
どうせあたしのことバカにして。
『泣き虫だね』って笑って。
あたしの泣いてる理由も知らずに。
「…………翔……………。」
崚丞の視界には。
………翔が居た。
「……………お前が」
「待てよ。なんで澪泣いてんの?」
「………………っ………」
「…………お前が泣かしたんじゃないのかよ!!」
「………ひゃー。崚丞怖いぞ。」
「…………澪!」
その時にはもう。
崚丞の声が小さく聞こえた。
あたしの腕は翔の手でしっかりと掴まれていた。
翔があたしを引っ張るように。
走り出していた。

