「………あのさ」
「…………………。」
翔の声。
中庭に小さく響いた。
「……ごめん。」
「……え……?」
「本当は、あの時あんなこと言うつもりなかったんだよ。」
「じゃあ何だって言うの?」
「俺………。本当はずっと、澪のこと好きだったんだ。ずっと。」
「……………は………………?」
あの時苦しんだあたしがバカみたいに思えてきた。
でも……………。
「もう、遅いよ…………。」
「………澪」
「あたしに恋愛に対するトラウマを作ったのは、翔。あんたなの。今は絶対考えられない」
あたしの言いたいこと。翔に伝わったのか。
そんなことも知らずに、中庭から逃げ出した。

