野上 澪 (のがみ みお)
中2の女子です。

普通に過ごしてる平凡女子。
まぁ、影薄いとか言われます。
はっきり言って、クラスの中で一番うるさくて。
まあまあ男子とも仲がよかった。

こんなあたしにも、恋愛感情というものはあるようで。
1年の時までは“好きな人“は居た。
でも向こうに好きな人ができて諦めちゃった。
そっから好きな人を作らないようにしてた。
普通に仲良くできたらいいや、って。
意外と恋愛しないと生きていけない訳じゃないみたいだけど、周りを見てたらうらやましくなる。

そんなあたしによく話かけてくれるようになったのは、
司馬 崚丞 (しば りょうすけ)。
小学校が一緒だったこともあるからか。
下の名前で呼びあったりしてる。
周りからは『リア充』とか言われたりするけど、そんな訳ない。

「澪、そのシャーペンくれよっ!」

「え、なんでよ。崚丞いっぱい持ってるじゃん。」

「それが書きやすいんだよー」

「お前はとことん文房具に金注ぐなぁ……。」

「マジで頂戴!!一生のお願い!」

「そのかわり、崚丞のシャーペン頂戴よー。あたしだけ損するの嫌だし。」

「はいはい。分かった」

そういって交換した訳です。
でも、その時は何も思わなかった。
ただ、崚丞と笑い合えたらよかった。

「………ぉ……みお……澪!!」

「ぎゃあっ!?」

「さっきから呼んでんのによー。生きてるのかよ!?」

「え……ごめん……。生きてる…。」

「アホか。澪は考え過ぎてるんだよ」

「…… なっ、誰のことで…考えてると思ってんの……。」

「え? 俺? 俺のこと?」

………え。
無意識に言っちゃってる。

「べっ、別に!!崚丞のことじゃないから!!」

「ふーん……。ここ数日、澪なんか変だ。お前はうるさくないといけないんだぞ。キャラ崩壊。」

「…………!」

その通りな気がして、言葉に詰まってしまった。
なんか、崚丞に全て見透かされる感じがして。
あたしのこと全部知ってるんじゃないか、って。
ちょっと嬉しいなんて思ってしまった。








……………これって……………。

こんな感情、前にも感じたことがある。
いつだったかな……。

1年の時だ。あの時好きだった人に対して、こんな気持ちだった。

あたし、崚丞のこと………?

一瞬、否定しようと思った。
違うでしょ、って。
でも、自分の気持ちを押さえ込んでも意味ないって知ってるから。

そうなんだ。
あたし、崚丞のこと好きだったんだ。

でも、認めたくない。
こんなの嘘に決まってる。
信じない。きっと嘘だよ。
好きな訳ないから。