ただ、そのあとは父の気が変わったらしく僕は実家に呼び戻されなかった
それはたぶん、僕がいらなくなったからだと思う
虫の知らせによると愛人の子が出来、その子が男の子だったから
でも相変わらずお金は自由に使えということだった
僕は幸せだった、何もかも
それまでの不幸が消えたから
でもーーーーー・・・・
あの後から一切来なくなった榊からの電話、そしてメール
少し気になって、僕は榊の事を知っていそうな友人・・・キリトさんにその事について聞きに行った
でもキリトさんの口から出た言葉は最悪の結末だった
榊が僕の自由と引き換えに国内から追放された、との事だった
あの自由は榊がくれた最後のプレゼントだったのだ
『榊ぃ・・・ッ、』
何度呼んでも返ってこない返事は僕を苦しめる
僕は人の人生を踏み台にしたのだ
でもキリトさんは笑ってた
それがあいつの人生やん、あいつが選んだ道や
って

