『僕この家が出たいです』









静まり返る部屋の中



ピクッ、と父の眉毛が動いた



「翼、お前達に全てを買い与えたはずだ

それが不満か」



『いえ、違います・・・僕は満足しています

でも・・・、お兄ちゃんが居るから僕はそんなに必要ではないと考えます』



「・・・」



『だから僕は自由がしたいんです

体の弱いお兄ちゃんにもしもの事があればすぐにでも帰ってきます・・・

おねがいします・・・っ』



僕はソファーから立って頭を下げた



必死に



自由を掴み取る為に



「・・・翔太にもしもがあれば必ずだぞ」



パッと頭を上げて父の方を見ると眉間に皺を寄せて難しそうな顔をしている父が見えた









これでやっと――・・・





自由になれた気がした










でも現実はそう・・・甘くは無かった