「翔太、翼」



ビクッ、と体が動くほどの威圧感を持つその人は僕達の父



高級ブランドのスーツに身を包んだ父は遠い人の様に思える



「翼、お前は下がっていろ

翔太と話がしたい」



そう、いつも呼ばれてすぐに僕は下がれと言われる



弟だから



長男じゃないから



しっかりしてないから








『はい』



返事をして、部屋を出た







英才教育は小さいときから習っていた



でも・・・お兄ちゃんの方が褒められて・・・



そしてお兄ちゃんは体が弱かったんだ



だからお兄ちゃんばかり構われる



寂しい、そんな感情が心を蝕んでいく