私がその分厚い肉を凝視しているとマナミさんが



「桜ちゃん~、いっぱい食べてね~」



とニコッ、と笑いながらそう言ってくれた



ポロ、



なにかがこぼれた様な気がした



気持ちが溢れすぎた



こんな優しい、暖かい家庭



遥はいい親の元に生まれたんだと実感した



マナミさんは慌ててティッシュをとって私に"大丈夫?"といって差し出してくれた



"ありがとうございます"



お礼を言ってティッシュを2枚程つかみ、目元にもっていった



遥は私の頭を撫でててくれて・・・凄く嬉しかった







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横で嬢が泣いている



長い間どれだけ嬢は苦しんできたのか



海も、祭りも言ったことが無い嬢



スクール水着しかないということはプールも勿論言ったことがないだろう



あの"長岡"家にはなにがあるのだろうか








ティッシュで涙を拭っている嬢、俺は無意識のうちに嬢の頭を撫でていた