消極的な彼女からしたら、ありえない長さだ。


まだ頭の上に乗っている花びらを手に取るが、刹那に吹いた風がそれを飛ばした。


「あっ……」


その春風が少し強くて、乱れる髪をなんとか整える。


揺れる前髪から見える、何者にも染まらない黒の瞳が輝いた。


「友達、できたらいいな…」


それは、未知なる高校生活に向けての最初の目標であり、切なる願いでもあった。