「さすがに学食混んでんな。」
「ですね。」

私たちは今、学食に来ていた。
……が、もう席は空いていなかった。

「購買行きますか?僕は別に構わないんですが。」
「そうしとくか。」



ー屋上ー


購買でいろいろ買ったあと、
私たちは屋上に来ていた。
屋上には私しかいなくて、静かだった。

「悪いな、足踏んだってだけで昼飯おごってもらって。」
「いいえ。悪いのは僕ですから。」
「つーか、敬語とかいらねーよ?最初みたく話してくれればいいからさ。」
「じゃあ、敬語とか無しで。」


先輩は、はぁ……と深い溜め息をついた。


「政宗ー」
「ん、何、上條先輩」
「頼み事があんだけど。」
「聞ける範囲でなら。」


先輩がパンを食べながらこっちに向き直る。


「頼む!俺と一緒に海に来てくれないか!」
「は?」
「あのな……、菜穂に海に行こうって誘われたんだけどよ……。菜穂のやつ、女子たくさん連れてくるっていってんだ。」
「はぁ……」

私が気の抜けた返事を返したのも
スルーしてマシンガンのように話し出す先輩。

「そんなことになってみろ!確実にとって食われる……!お前もさっきの菜穂の言葉聞いたただろ!?俺、一人の女とか無理なんだよ……」
「で、なんで僕?」
「んなもん、決まってんだろ。お前が女子からの人気が高いからだよ!」


どうしたものか……
水着なんか着たら、女だってバレる……!
……まさか、こんなことになるとは。
とりあえず、誤魔化すしかない!


「あー、僕泳げないんで。パスで。」
「泳ぎぐらい教えてやるよ!今度プール行こうぜ!可愛い女の子も紹介するからさ!」


な、なに……!?
そう来たか!
ど、どうしよう!
葉瑠ヘルプミー!


「え、と。じゃあ泳がなくていいならついていきます。何日ですか?」
「確か、8月8日だな。」


……8日?
確かその日は……
葉瑠と遊ぶ日だ!

ありがとう、葉瑠!
助かったよ!


「すみません、その日彼女とデートなんで……」
「じゃあ、彼女も連れてこればいい!」


な、なんですと!?
この人、どれだけ私を連れていきたいんだ!


「……じゃあ、彼女に話してみます……」
「頼んだぜ!」