『きゃー!政宗様よ!』
『今日も素敵だわ~!』
『うちの彼氏とは大違いよ!』


私は、毎日女子たちの黄色い声の中校門をくぐる。自分で言うのも気が引けるのだが、私は女子から『かっこいい』と評判らしい。
『七原政宗ファンクラブ』なんてものも存在しているとか。

……そのファンクラブとやらに入ってる女の子達は私が女だと知ったらどう思うんだろうか。


そんなことを考えながら教室へと向かう。


ドンッ


「……っ」

誰かにぶつかってしまい、謝ろうととっさに顔をあげる。
すると、そこには。
さらさらなミルクティブラウンの髪と赤の瞳を持つかっこいい男子がいた。

(うわ……、この人イケメンさんだ……)

「……ぃ、おい!」
「……っ!す、すまなかったっ!」
「そーじゃなくて。」

男の人は苦笑して私の顔を見る。

「いつまで俺の足踏んでんの?」
「え?」

そういわれて、足元を見ると……
男の人の足を思いっきり踏んでいた。
私は、自分の足を退けると慌てて謝った。

「本当にすまない!僕が悪かった!」
「いや、別にいいけど」
「お詫びに今日の昼をおごらせてくれ!」
「いや、そんなに気にしてねーけど……」
「いいから!」

お詫びを、と譲らない私に彼は

「あー、わかったわかった。大人しくおごられるわ。」
「ふぅ……、よかった。」
「何がだよ」

彼は私に笑いかけてきた。

「で、名前は?」
「僕は二年A組七原政宗だ。」
「俺は三年A組上條一(カミジョウ ハジメ)。よろしくな。」

そう言って、私とは反対方向に歩いていく上條先輩。面白い先輩だった。今日、昼に会えるのがちょっと楽しみだ。


そんなことを思いながら教室に入った。