「キャー‼ ハルトくん、カッコいい‼」
親友の莉菜が、私の雑誌を奪い取り、1人で盛り上がっている。
…ずるい。
私も見たいのに……。
ハルトくんとは、私が好きなアイドル。

上山 遥翔

ジャニーズ事務所に所属しているが、デビューはまだしてない。
ハルトくんは、歌が上手くて、私は彼の声を好きになった。
顔も、カッコいいけど、1番は声かな。

「美琴、早くー」
莉菜にせかされる。
「わかったー」
莉菜こと、永淵 莉菜。

美人で、モデル体系で、クールっぽいけど、実はジャニーズ大好き。
こういう莉菜のギャップも、私は好きだなぁ。
それに比べて、私は。

地味で冴えない、女子高生。

「っきゃ!」

走って莉菜のところに行こうとした途
中、誰かとぶつかったが、謝ってだけ、すぐにまた走った。

「莉菜ーっ」


私は、莉菜の細い背中を追いかけた。

「美琴さぁ、何でうちの高校来たの?」


追いついた私は、いきなり質問される。


「……だって、」

「わ、悪気はないよ? …ただ、もっと偏差値の高い高校に入れたのに、って思っただけ‼」


………私は、頭良くないよ。


これはホント。
私、バカだもん。

「私、…そういうの嫌なの」


私は、そう言って、莉菜を置いて歩い
た。



何だか、悲しくなってきた。

あんなに、信頼してたのに……。



と、そんな時にケータイが鳴った。


「美琴! 俺だけどさ、…何か、莉菜がゴメンな?」


電話の相手は、私のクラスメイト。


浜田 将太。


莉菜のいとこに当たる人。


「…ありがと、将太。大丈夫」


将太はいつも優しいなぁ。



「…そか。んじゃあ、莉菜には叱っとくわ笑 また明日な」



…ありがとう。




私は、大丈夫。