ま、誰と誰が付き合ってるなんて噂、案外あっという間に広まっちゃうもので。

滝沢からその夜メールが来た。

『お前、中岡と付き合ってんの?』

『うん』

『どっちから告ったの?』

『うーん…滝沢には関係ないじゃん』

それから10分くらいして

『俺、中岡君とライバルだわ』

ってメールが来た。
なんとなく意味はわかったけど、わからないフリをした。

『なにが?』

って。

『わからないの?ま、もう手遅れだけど』

滝沢…私はその言葉をもっと早く言って欲しかった。

でももう後戻りは出来ない。

私は

『何々、ヤキモチー?』

そんなことも言えなくなっていた。

ただひたすらわからないフリをした。

“中岡を悲しませることだけはしたくない”

その思いが私を引き止めてくれた。