「お、俺の!?」

目を丸くする俺に、男は頭を抱え、首を横に振った。

「わたくし…もしくは、私…百歩譲って、あたしだ」

男が指を鳴らすと、空中から鏡が降りてきて、椅子に縛られた俺が映る。

その姿に、俺は唖然となった。

「な…な……何いい!」

そこに映っているのは、



俺に殺して下さいと言った…少女だった。

「綾瀬太陽…。お前は今日から、開八神茉莉(あやがみまや)となり、生活を送ることとなる」

男は人差し指で、眼鏡を上げると、

「私は、お前の親衛隊隊長兼、側役の真田信芳。そして、お前の後ろにいるのは…」


いつのまにか、僕の後ろにメイド姿の女がいた。

女は、僕の縄を解いた。

「お前のお世話をする…猫沢巫女だ」

猫沢は、頭を下げた。


俺は自由になると、自分の体を確認した。

「柔らかい…」

驚く俺に、真田は言った。

「お前の体は…茉莉お嬢様に、そっくり作りかえている。まあ〜作り物であるが〜お嬢様の体には、変わりない」

俺の後頭部に、冷たいものが突き付けられた。

「傷つけた場合…殺す」

それは、銃口だった。

後ろを向くと、無表情の猫沢が、拳銃を向けていた。

「ははは……」

俺は、笑うしかなかった。