純一郎は、わなわなで体を震わせ、額の血を拭うこともせず、

ただ泣き、話す。

「この学校に…お嬢様が無事に入学される…その日まで、学校のゴミどもを排除し……お嬢様が入学されてからは、お嬢様に近づくダニどもを、排除する為に…私は、頑張ってきました」

純一郎の迫力に、俺は何も言えない。

「会社に就職してすぐに…この学校に、配属され…お嬢様が来る…その日まで、留年に留年を重ね!やっと、来年は、ご一緒に二年に上がれると思って…おりましたのにいい!」


「留年……二年にあがれる?…」

俺は、純一郎の言うことをすぐには…理解できなかったが……学生には見えない容貌に…何となく、話が見えてきた。

「つ、つまり……お嬢様の為に…ずっとこの学校に生徒としていて……お嬢様が入学してくるまで…留年して待ってたと…」

俺の言葉に、純一郎は涙を拭かずに、頷いた。

「だが…」

俺は、首を捻り、

「それって…生徒でなくても、よくねえの?先生とか、用務員とか…」

俺のその言葉に、純一郎は凍り付く。

「あっ」

その考えはなかったようだ。学校に潜入しろ…イコール…学生になるしか、頭になかったらしい。


凍り付く純一郎をおいて、歩きだした俺に、向かって…生徒の1人が飛び出してくる。

「学園に平和を!」

何か紙を握り締めて、走ってくる生徒は、切羽詰まったような表情で、俺に向ってくる。

「な?」

驚いた僕の目の前で、銃声が轟き、生徒がばたっと倒れた。

音がした方を見ると、校舎の屋上で…光る物質が、さっと消えるのを、確認できた。

「え!」

それは、明らかに……鉄の筒だった。

「ま、まさか…銃?」