「気分って…」

引きつる僕は、また迷路のような道を歩くと、

数分後…やっと玄関へと、たどり着いた。

玄関を出ると、正門までの百メートルの歩道の左右に、数百人の使用人…そして、親衛隊が並ぶ。

「気を付けて…いってらっしゃいませ…お嬢様。」


列の中から、真田が出てきて、

俺の前で、仰々しく頭を下げた。そして、背中を向けると、ゆっくりと歩きだす。

俺と猫沢は、その後に続く。

「いってらっしゃいませ!お嬢様」

通る度に、使用人達が頭を下げる。

門の前には、ドラマでしか見たことのないような異様に、車体が長いリムジンが止まっていた。

真田がドアを開け、猫沢に突かれて、俺はリムジンに乗り込んだ。

ドアを閉める時、真田が俺の耳元で、囁くように言った。

「ばれたら……殺す」

眼鏡の奥の殺気を感じ、俺は身を震わせた。


リムジンという監獄は、ゆっくりと俺を乗せて、出発した。