「少々失敬するよみるくくん。」
メイドがポカーンとする中私は立ち上がる
「ここであったが百年目。晩酌のお相手を願えるかな浅井くん」
カウンターの端の男が目を丸くして私を見上げると私の口を抑えて脇腹にグーを突き刺す
「本名をさらすのは辞めたまえ三崎乃亜」
初めて見た。顔赤くしてる。顔赤くしてるー!
「お主ここには良く来るのかね?」
手に持ったグラスをカウンターに置き隣に腰掛けるとメイドを呼んで席の移動を伝える
「お主とかキモい辞めろ。初めて入った」
赤い顔を隠すかの様に壁に顔を向けてコーヒーに口をつける
「なにを飲んでいるのかね貴様はソフトドリンクか。そんなたまか。」
顔を赤らめたイケメンをいたぶるのってこんなに楽しいんですね。
「あいすこーひー。」
「正式名称で」
食い気味に顔を寄せる
「…あいちゅこーひー。」
可愛い。可愛いよ。かわいいよー!すきすきすきすき!
顔の色が元に戻ったのを確認するように頬に両手を当てて私に向き直る
「お会計お願いします」
目の前でなす術無くなんとなーく食器とか拭いてみてるメイドが笑顔で応えると伝票を渡した
「死にたくなかったらお前も出ろ」
小声で私にも会計を促す
さっきの顔とは打って変わって冷たい目で私を見下ろす
「のあちゃん、折角会ったんだしご飯でも行こうよ」
百面相の様に今度はキラキラと音が聞こえる様な笑顔で私を見る
「は、はい。お会計を。」
みるくが残念そうに伝票を渡すとまたのご帰宅お待ちしてます。と微笑む。
そしてどどめ色を飲み干すと初めてのメイド喫茶をあとにした