一瞬時が止まったような気がした
カランと私の前のカフェオレの氷が音を立てた
三次元とは思えないような整った顔立ちの綺麗な男の人が目の前で今タバコに火を付ける
多分幻聴だと思うんだけど
その彼が今私の好きな曲を褒めた
15年も前の女の子向けのアニメのオープニングテーマが彼のパソコンにも入っていると言う
「え?なんで?」
そこからは話すまでもない
同じ趣味を持つ一つ年上の男の子だと判明した訳だ
顔のせいなのかなんなのか女性にこの趣味を話す事はあまりないらしい。
小一時間盛り上がり、仲良くなった事は言うまでもない
浅井君は同棲してた彼女(と言うよりお財布の女の人)と喧嘩別れして今の家に引っ越してきたらしい。
原因はもちろん女がらみだ
話しているうちに好感が持てる所もたくさん見つけられたし私が浅井君を初めて見た時吹き出した鼻血で溺れかけたと話しても笑って聞いてくれた
「そういえばのあちゃんさっきマルキュー行ってたんだよね?何も買わなくて良いの?」
軽装で小さなカバン一つぶら下げた私に彼が問う
「のあちゃんって。よだれ出るから辞めてよ。マルキュー怖いから逃げてきた」
「じゃあ俺も着いてくからもう一回行こうよ」


