「緊張するなら手のひらに人って書いて飲み込めば?」

「え…?」

聞こえた声は男の人の声で。
振り向くと立っていたのは、男の人だった。

黒と赤の髪に着崩した制服。
左耳には赤いピアス。

いかにも不良ですって感じの人。
先輩…だよね…。

「あの…どうして…」

この格好、この態度、すごくこわい…。

「だってあんた緊張してんだろ?だから緊張しない方法教えてやったんだろ」

「え…?」

どーゆうこと…?

「ここにきたらたまたまあんたがいて、緊張するー。って。あんた、言葉いう奴だろ?こんなに大勢のなかで噛んだりしたらすげー恥ずかしいぞ。」

そーゆうこといわないでほしいなぁ…。
余計に緊張しちゃう。

「まぁ、軽ーくやれば大丈夫だろ。たかが新入生代表の言葉くらいで。」

「たかがっていわないでくださいっ!これでもすごい緊張してるんですから!!」

これでも昨日は緊張して寝れなかったんだから...。
私にとって、高校に入って最初の大仕事なんだから!!
もしここで失敗したらこのあと最悪の高校生活を送らなきゃならないんだから!

「そんなのいやだよぉ~...。」

緊張しすぎて涙が出てきそう。

「...あぁ、もう!悪かったな!」

「...え...?」

な、何急に??

「お前がそんな顔になるくらい大事なこと、たかがなんていって悪かったな...。」

あ...。気にしてくれたんだ...。

「いや..全然...。ありがとうございます。」

意外と優しい...?