20年後

私達の間には今年で15歳になる娘が居る


「──って言うことがあって、結婚したの」

「えーっ嘘っぽーい」
娘の名前は心春(コハル)。
今年から受験生で彼氏がいるみたい。
今日は4月1日ということで朝から私達は昔の話に花を咲かせていた。

「でも、お父さんすごいかっこいいね」
目を輝かせながら言う心春。

「でしょう?心春も素敵な人に出会ってね?」
私は紅茶をカップに注ぎながら言う。

「もうすてきな人に出会ったもん!」
可愛らしい笑顔魅せクッキーをほおばる



こんな幸せを感じられるようになったのも

彼のたったひとつの嘘のおかげ。
私はよかったと思う
あの日がエイプリルフールで。


「そういえば、お父さんは?」

「朝から出掛けていったけど…」
「ふーん…」
心春はどこか寂しそうだった

そのとき、インターホンが鳴った
きたかな…
思わず笑ってしまう
あの時とそっくりだから…

「心春、でて?」

「はーい」

心春はリビングを出て行く

そしてドアが開いた音と共に

「きゃあぁぁぁぁぁぁーっ!!!!!」

ほら、予想通り。
こっそり覗くと

心春の彼が心春の左手の小指に指輪をはめていた所で
心春は大号泣

私の脳裏にはあの日の事が鮮明に
今、目の前で起こっているかのように思い出した。