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それから約30分後、
インターホンが家中に響いた。

ギリギリで掃除や身支度は終わっていたが目の腫れは治らなかった。

玄関を開けると彼が抱きついてきた。

「!!!?」

「嫌いとか、言うなよ…」
今にも消えそうな声が耳にかかる。
その言葉がまた胸に染みて、目に涙が浮かぶ。

「し、翔が悪いじゃない…」
必死に泣くのを我慢しているせいか、声が裏返ってしまった。

彼は抱き締める力を強めた。
「俺は麻衣を愛してる、嘘じゃない。」

そういって私から離れ、ポケットから四角い箱を取り出した。

「…え…」
私は混乱した。
彼は箱を開けて中身を見せてくる
その中には


シルバーの指輪が入っていた。


「本当は誕生日に言うつもりだったんだけど…」
丁寧に指輪を取り出し、彼は指輪を私の左手の薬指にはめた。

そしてふぅーっと一呼吸置き、言った。

「俺と、結婚してくれますか?」

私の目からは溢れ出した涙が流れ、
私は彼に笑顔で言った


「喜んで」


その言葉と同時に
桜たちが私達を祝福するように
ひらひらと桜の花びらが舞った。