私はただ今全力疾走中


何で走ってるかって? 理由は単純。2学期始まって初めての授業なのに遅刻しそうなの。


もーきつすぎ! 学校近くで良かった。



ヤバい! 学校のチャイム鳴った。


大急ぎで昇降口で靴を脱ぎ、上履きを引っ掴んで階段を駆け上る。やっと4階についた。教室まで50mくらいだ。


「遅れてすみません!」

教室に駆け込んだ。教卓に先生がいない。


セーフ!




あれ?
 

いないのは先生だけじゃない。ここにいるのは、里依だけだ!



「里依……何かあったの? 皆はどうしたの?」


「分からない。私が来た時から皆いなかった」


「いや、遅れてすまん。会議が長引いてしまった」


先生が来た。



「先生、皆は?」



「はい?」




「皆何処行ったんですか?」





「な……何故お前達しかいない!」





「先生気づくの遅すぎ!」



はぁ、笠本さんは相変わらずだ。




「とにかく、何故いないのかをつきとめなければ!」


先生は走って教室を出て行った。



「先生、何処行ったんだろう?」


「職員室でしょ。皆の家に電話」


「何で皆いないんだと思う?」


「さぁ。もしも皆が普段通り家を出たとしたら……」


「電車が遅れてるんじゃないの?」



「電車が遅れるって言うのは、すぐに広まるから、もしそうなら笠本さんが知ってるでしょ。私も考えたくない……でも、これしか考えられない。皆は……誘拐されたのよ……きっと」



私は絶句した。


“もし、そうなら確かに皆がここにいない事も、私達だけが何故ここにいるのかって事もつじつまが合う……けれど”



私は自分が考えた事に対して悪寒らしき物を覚えた。







〈里依視点〉


何で私達のクラスだけ平穏な日々を送れないの? 何でこんな戯言につきあわされなきゃいけないわけ?


沢山の何故が私の頭の中に溢れていた。




更に寒さが走る。クーラーなんてこの部屋に効いて無いのに。




遠くで蝉の鳴く声がぼんやりと聞こえた。



 「……賢島!」




「え……何? ……陽梁。えっと、あ違った! 笠本先生!」




「……お前が放心状態になるのも無理はない。星月の事、考えていたんだろう?」





……全く違う事考えていたんですけど。






どうも今日の笠本先生は何か様子がおかしい。何かあったのだろうか?






「とにかく、さっき家庭に電話をかけた。そしたら、全員家は出たらしい……もし、皆誘拐されたとするならば、こんな事をするのは、まずクイーンしかいないだろう。 こうなったら……しょうがない。あそこに行くか。星月、賢島、ちょっとついて来い」





そう言うと、笠本さんは、私達を連れ、体育館裏の武器庫に連れて行った。
 




まさかこんな所に武器庫があったなんて……