私達は武器を点検した。



大丈夫。リアンノンもアポロンもきちんとある。里依も、ヴェローネとアルテミスを準備した。



鉄格子が開いた。



「来い」



逆らったら確実に殺される。私達は大人しくついて行くしかなかった。







私達は、闘技場に押し出された。クイーンは何を考えてるんだろう。
 


「さぁ皆さん! 本日のゲスト、ルナ=シーアとマリア=ウィリスです! 2人は人間界のMAGIC HIGH SCHOOLに通っています! さぁ、どんな戦いを繰り広げるのでしょうか! 対戦者の登場です!」



マジで!



向こうのゲートから、黎夜を先頭に皆が入って来た。勘弁して!



「2人の対戦者は、同じくMAGIC HIGH SCHOOLに通う、38人! しかも、2人がここに来たのは、対戦者達を救う為! 2人はどう戦うのでしょうか! 必見です!」

〈陽梁視点〉


……こうなったら仕方ない。闘うしかない!



私は、リアンノンを両手で構えた。



 「お願いマーク、また力を貸して」



へっ? 今、里依マークって言わなかった? どういう事?




〈里依視点〉


また、あの方法を使うしかない。私は、1度に2つ以上の事をやるのが苦手。というよりダメだ。頭がパニックになって混乱するから。……でも、今はそんな事言ってらんない。 



私は、再びブローチを握りしめながら念を込めた。



“……この矢が、あの人達の体を貫く事の無いように……貫くんだったら、彼らの心にして!”



「さぁ、スタートです! 会場にいる皆さん。どうぞ、声援を送って下さい!」



遠くでクイーンの声が聞こえた瞬間、私はナイフを床に叩きつけた。途端に土煙が上がり、私は少し咳き込みながら、龍の名前を呼んだ。そして、急いでマークにまたがり、手綱を手に絡ませ、ブローチに触る。



ヴェローネを背負い、一気に私達は急上昇した。


 陽梁はそんな私の様子に呆気に取られてるけど、必死に闘っている。



私は黎夜に狙いを定めた。一瞬、後悔の念がよぎった。



“黎夜……ごめんね”



次の瞬間、彼に矢が当たる。傷口から血が吹き出た。黎夜は私の方を向き、電気ショックを放って来た。相当強い。私は魔力を使い、黎夜の電気ショックを跳ね返した。



私は立て続けに矢を皆に当てる。皆が次々と倒れて行く。必死に矢筒から矢を取り出している私に、突然声が聞こえた。



“俺だって……辛いんだ!”







“どういう事? 黎夜”



下を見ると、必死にかぶりを振っている黎夜がいた。







〈陽梁視点〉


華が私に攻撃して来た。やっぱり目がくもってる。皆洗脳されてるんだ! でも……どうしたら洗脳を解けるの? それを早く見抜かないと、私達は助からない。



黎夜が来た。私は傷つける訳にはいかない。そんな事できない。黎夜の剣をリアンノンで受け止める。



クイーンの弱みを考えないと! でも黎夜がそんな暇をくれない。どんどん攻めてくる。



“星月!”



黎夜の声が聞こえる。



“クイーンは、俺達を洗脳した訳じゃねぇ。体を操ってるだけだ!”



でも、クイーンにショックを与えないと魔法は解けない。どうすればいいの?
 里依が降りて来た。疲れきってる。アルテミスでどうにか戦ってるけど、長くは持たない。私はゆっくり里依に近づいた。でも、これ以上早く動けない。黎夜の攻撃がひっきりなしに続く。



「きゃ!」



里依が足を貫かれて倒れた。



私は黎夜を突き放し、里依を抱えて、リアンノンを振り回した。それでも皆は攻撃してくる。私は出来る限り避けて、物によってはリアンノンで受け止めた。



だが……ついに壁際まで追い詰められた。





私は里依を降ろして、皆の攻撃を受けた。