頭が痛い。全く誰なのよ! 私を思いっきり殴って気絶させた人!



「陽梁! 良かった。大丈夫?」



里依?
 


私はどうにか体を起こした。ここは……



「牢屋だよ。私達、捕まっちゃったんだ」



「里依。私をここまで運んで来た人見た?」



里依なら知ってるはず。



陽梁……それは……その……」



「誰なの? はっきり言って!」



「……黎夜だった……」



「……嘘……」



私は信じられなかった。



出来れば悪夢だと思いたかった。



でも、これは現実。現実だと受け止めるのは、私にとってかなりの重荷だった。



「目を覚ましたようだね」



振り向くと、そこに紀香がいた。






「紀香! あんた黎夜に何したのよ!」



「うるさいね。だいたい私は紀香じゃない。ロザリーって言うちゃんとした名前があるのさ」




「あんたの名前がロザリーだろうがマリーだろうが知ったこっちゃないわ! 黎夜に何したのよ!」




「全く。せっかく忠告しに来てやったのにね。まぁ質問には答えてやるよ。あいつはもはや私のマリオネットさ」




「なんですって!」




「せいぜい闘う準備をしておくんだね」





そう言ってクイーンは去って行った。